Smiley face
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中国・北京の海淀外国語実験学校で日本語を学ぶ小学1年生の児童ら=2025年2月28日、井上亮撮影

 中国の厳しい受験競争や就職難を背景に、日本で学ぶ中国人留学生が過去最多となる勢いだ。人気留学先の米国と中国の関係が悪化するなか、日本への留学コースを備える学校も増えている。日本を目指す流れは加速しそうだ。

 「スイカが好きです」

 小学1年生の男子児童はこう言うと、胸の前に両手の指でハートの形をつくった。

 北京市にある海淀外国語実験学校の日本語の授業の風景だ。高校までの一貫教育を提供する同校の多言語コースでは、小学校から12年間、日本語を含む四つの第2外国語を学ぶことができる。

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 ここで中学から学んだ李思彤さん(18)は4月、早稲田大先進理工学部の門をくぐった。入学式でキャンパスを歩いた時、サークル勧誘のチラシを配る学生からも祝福され「めっちゃうれしかった」。

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早稲田大学に入学した李思彤さん=2025年4月2日午前、東京都新宿区、岩田恵実撮影

 日本のドラマや歌手が好きだった李さんは中学3年で日本留学の意思を固め、高校1年で日本語能力試験の最高難度「N1」を取得。さらに日本の大学が求める外国人向けの日本留学試験(EJU)の内容も高校の授業で学び、「現役」で早大や上智大に合格した。「将来はがん治療の研究をしたい」と未来を描く。

中国語の「留日」には、日本へ留学するという意味があります。中国では最近、中学を卒業後すぐに日本の高校へ渡ったり、中国の高校から日本の難関大学に「現役合格」したりする例も少なくありません。日本への留学が増える理由を探りました。

 以前は中国の高校を卒業してから日本に渡り、語学学校を経て大学などに入るのが一般的なルートだった。だが、李さんが通ったような日本留学をめざすコースがある学校が中国各地に増えているという。東京大や難関私立大、医学部の合格者を複数人出す学校も少なくない。

親子にのしかかる「現代の科挙」

 「親と子のいずれにとっても…

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